
あなたは今、腰に湿布を貼って読んでいるかもしれません。
毎日数年続く腰痛。
整形外科の検査では腰に異常無し。
痛み止めを飲んでもその時だけ。
そんな腰痛の原因の筋肉が、体の奥深くに隠れた腸腰筋かもしれません。
もしかしたら名前は聞いたことがあるかもしれません。
今回は腸腰筋と腰痛の関係を図を使ってわかりやすく説明していきます。
腸腰筋が原因の腰痛を改善する神経ストレッチも紹介します。
腸腰筋と神経ストレッチを理解すれば、あなたの腰痛が改善する可能性が高まりますよ。
腸腰筋の解剖的な位置

腸腰筋は、体の動きと姿勢に大きな影響を与える深部の筋肉(インナーマッスル)です。
腸腰筋は、腸骨筋・大腰筋・小腰筋の3つの筋肉からなります。
ただ、小腰筋は40〜60%の割合で無いとも言われています。
そのため、腸骨筋と大腰筋の2つと紹介されることも多いです。
腸腰筋は3つの筋肉なのになぜ、腸腰筋と一つの筋肉として呼ばれるのか?
その答えは、最終的に一つに合流するから。
3つの筋肉の始まり(起始)は違いますが、終わり(停止)は合流して一つになります。
最終的に一つになるため、腸腰筋とまとめて言われます。
大腰筋と小腰筋

大腰筋と小腰筋だけが、背骨と下半身(下肢)を直接繋ぐ筋肉です。
大腰筋と小腰筋は腰椎の側面から始まり、脊柱の前方に沿って走行し最後は大腿骨内側の小転子です。
小腰筋は大腰筋の上部に位置します。
そして小腰筋は第12胸椎(T12)と第1腰椎(L1)の椎体と椎間板から始まります(起始)。
大腰筋の始まり(起始)は深頭と浅頭の2つに分かれます。
大腰筋の深頭は第1腰椎(L1)〜第5腰椎(L5)の肋骨突起から始まります。
大腰筋の浅頭は第12胸椎(T12)〜第4腰椎(L4)の椎体と椎間板の側面から始まります。

腸骨筋

腸骨筋は骨盤の内側から小転子まで終わる走行する筋肉です。
腸骨筋は骨盤と大腿骨を繋いでいます。
大腰筋・小腰筋とは始まる位置が違うため、区別しやすいですね。
腸腰筋の基本的な働き

腸腰筋の基本的な役割は股関節の屈曲動作。
股関節を支点にして身体を折りたたむ動作です。
簡単に言えば太ももを上げる動作。
歩行、走行、階段などで働きます。
太ももを上げるのは腸腰筋と同じ大腿神経が支配する大腿直筋や縫工筋も一緒に働きます。
後で紹介する大腿神経ストレッチは腸腰筋だけでなくこれらの筋肉にも効果があります。
股関節の屈曲は実はもう一つあります。
それが、上半身を折りたたむおじぎです。
これも股関節を支点にしていますよね。

次は腸腰筋の補助的な役割です。
腸腰筋は中心(背骨)から外側(大腿骨)についています。
腸腰筋が縮むと同側に上半身を倒す働きがあります。
大腿骨は、背骨より斜め前に位置します。
そのため、腸腰筋が縮むと斜め前に引っ張る形となり、結果的に反対側に背骨を回す(回旋)働きがあります。
次は太もも(大腿骨)に対する補助的な働き。
大腿骨は外向ける(外旋)働きがあります。
言葉で書くと難しいですが、筋肉がどこについているかをイメージしてみると理解しやすいですよ。
ただし、腸腰筋等の身体の深部に位置する筋肉(インナーマッスル)は、身体を動かす事より体幹の安定や姿勢の維持等に実力を発揮します。
腸腰筋と腰痛の関係
ここから、腸腰筋が腰痛の原因と言われる関係を説明していきます。
大腰筋は腰椎の側面から出て、大腿骨の小転子まで続きます。
小転子は内側なので図では見えません。
位置関係を横から見ると、小転子が前になります。
大腰筋は矢印の様に力を出します。
この力で上半身を倒すのが股関節の屈曲です。
普段は上半身は倒れず起きています。
その時、大腰筋は他の筋肉と協力して腰椎の前弯を保つ役割があります。

腰椎は小転子よりも後ろに位置します。
そのため、大腰筋が縮むと腰椎は前に引っ張られます
腰椎が前に引っ張り出された状態が腰椎の前弯です。
また腰椎と繋がる骨盤も起こされます(骨盤前傾)。
骨盤からつく腸骨筋も下図の様に骨盤下部の恥骨結節の上を通ります。
恥骨結節は小転子よりも前に前にあります。
つまり、腸骨筋は骨盤を起こす(骨盤前傾)働きがあります。

この様に腸腰筋は腰椎や骨盤を正しい位置に保つ役割を果たしています。
その結果、体幹が安定する事で身体全体のバランスも取れるようになります。
背骨は横から見ると軽く曲がっており、生理的弯曲と言います。
背骨が直線だと上部の重さが下部の腰に一気にかかります。
生理的弯曲は重さを分散して腰の負担を軽減する役割があります。
腸腰筋は腰椎の前弯を維持することで腰の負担を軽減するという腰痛予防の働きがあります。
腰痛の原因が腸腰筋の可能性があると繋がってきましたね。
腸腰筋が原因の腰痛とは
腸腰筋が正しく働いていれば骨盤や背骨は正常な位置にあり腰痛も起きにくいです。
しかし、正常に機能しないと骨盤・背骨の安定性が低下します。
これが腸腰筋が原因の腰痛です。
腸腰筋は腰椎を前弯させて、重心を股関節の直上に置く働きをしています。
腸腰筋の力が弱くなると、背骨を前に引っ張る力が低下。
すると背骨・骨盤は後ろに倒れて(後傾)背中が丸くなります。
反対に腸腰筋が強過ぎる・硬く縮んでいると背骨・骨盤の前弯が強くな(前傾)ります。
これが反り腰状態です。
つまり、腸腰筋が適度に緊張している状態が理想です。
腸腰筋が原因の腰痛は、適度な緊張に戻す事で改善されます。
腰痛改善の大腿神経ストレッチ

腰痛改善の大腿神経神経ストレッチを紹介します。
神経ストレッチの目的は運動神経と感覚神経の両方を刺激していきます。
運動神経:狙った神経を正確にストレッチかかる姿勢を作る
感覚神経:神経が伸びた(テンションがかった)感覚を正確に感じる
大腿神経が正しく伸びる姿勢となる様に運動神経が筋肉に指令を出します。
大腿神経が伸びた感覚を感覚神経が正確にに感じ脳に情報を届けます。
この循環を繰り返すために、大腿神経を伸ばす・緩めるを繰り返します。
股関節・太もも前面に伸びた感覚を感じましょう。
大腿神経ストレッチを行うことで、大腿神経が正確に働く様になっていきます。
大腿神経の働きが正確になると、股関節痛が改善されていきます。
神経ストレッチの詳しい説明は下記をクリックしてお読み下さい。
大腿神経ストレッチのポジション
大腿神経ストレッチのポジション作りの注意点
・強いテンションをかけない
・MAX10として3程度の弱いテンション
・3/10のテンションを感じられたら、最後のポジションまでしなくて良い
大腿神経にテンションを感じられない場合は下記で調整。
・最初からやり直す
・ポジションに持っていく順番を変える
・足・膝・股関節・上半身の位置を微調整してテンションがかかる位置を探す
大腿神経ストレッチ刺激の出し入れ
大腿神経ストレッチのポジションが出来たら3〜5回程度動かします。
形だけ動かさない様にテンション(張り)を確認しながら行います。
緩めて、再度テンションをかけた時が抜けやすいです。
緩める前と同じテンションがあるかを確認しましょう。
テンションが抜けているなら、微調整してテンションがかかるポジションを探しましょう。
腰痛改善 大腿神経を緩める
腰痛が大腿神経ストレッチで改善しない場合もあります。
その時は、反対に大腿神経を緩めてみましょう。
緩め方は大腿神経ストレッチの反対ポジションです。
緩んだポジションで2〜3分ほどキープします。
途中で股関節痛が強くなったり、別の箇所に痛みやしびれ等が出るなら中止して下さい。
大腿神経ストレッチと比較して効果の高い方法を継続していきましょう。
腰痛と腸腰筋の関係のまとめ
今回は腰痛と腸腰筋の関係や、腸腰筋に指令を伝える大腿神経ストレッチを紹介しました。
大腿神経ストレッチが効果無ければ、他の神経ストレッチを試して下さい。
腰痛の原因に腸腰筋があると聞いたことがあっても、理由までは知らなかった方も多いと思います。
腸腰筋と腰痛の関係がわかれば、腸腰筋のセルフケアを続けるモチベーションも変わるはず。
ただ、腰痛は一つの原因でなるわけではありません。
多くの原因(要因)が積み重なって腰痛となります。
原因(要因)の中の腸腰筋の割合が少ない場合もあります。
今回紹介した大腿神経ストレッチで効果が無ければ、あなたの腰痛の原因は腸腰筋では無かったと考えてください。
そして他の方法を試してみましょう。
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