野球肩の痛みで悩んでいませんか?
今回は、筋肉のストレッチで治らなかった野球肩の痛みを改善する方法を解説します。
その方法は、「腋窩神経ストレッチ」です。
一般的なストレッチは肩の筋肉を伸ばそうとします。
改善出来ていれば良いですが、治らない方も一定数います。
それなら、考えを変えて肩の「神経」を伸ばしてみましょう。
ストレッチで狙う神経が肩の腋窩神経です。
今回は、野球肩改善に腋窩神経ストレッチが有効な理由もわかりやすく解説していきます。
改善のキッカケになるので是非最後までお読み下さい。
投球動作で使う主な肩の筋肉
投球時に働く主な表層筋(アウターマッスル)
肩の表層筋(アウターマッスル)とは、簡単に言えば力を入れた時に盛り上がって見える筋肉です。
投球時に働く表層筋(アウターマッスル)は主に2つの筋肉です。
・三角筋
一般的な肩の筋肉で、腕を上げる働きがあります。
・上腕三頭筋
二の腕の筋肉ですが肩からついており、腕を伸ばす働きがあります。
投球時に働く主な深層筋(インナーマッスル)
肩の深層筋(インナーマッスル)は、表層筋(アウターマッスル)の下にあるため見ることは出来ません。
肩のインナーマッスルは肩甲骨と上腕骨を繋ぎ、回旋筋腱板・ローテーターカフとも呼ばれます。
投球時に働く肩の深層筋(インナーマッスル)は主に3つです。
一番の役割は腕の骨を肩関節に引き寄せて安定させる役割になります。
・棘上筋
腕を上げる役割
・棘下筋
腕を外側に捻る、腕を横に広げる役割
・小円筋
棘下筋と同じ
肩関節後方の棘下筋と小円筋は腕の振りを減速させる役割も果たすため、負担も大きくなります。
肩のインナーマッスルの回旋筋腱板の役割
ローテーターカフの役割は腕の骨を肩関節に引き寄せて安定させる事と前述しました。
これは、投球動作でも非常に重要な役割です。
ただ、身体の前後から見た図ではイメージしにくいですよね。
上図は、肩関節とローテータカフの断面図を右から見ています。
真ん中が肩関節で、ここに上腕骨が付きます。
ローテーターカフの筋肉が肩関節の周囲を覆っているのがわかりますよね。
そしてローテーターカフの筋肉は全て上腕骨に付きます。
つまり、上腕骨もローテーターカフに覆われているのです。
そのため、ローテーターカフの中心の肩関節に上腕骨を引き寄せて固定させる役割が可能なのです。
横からの断面図を見ることで引きつけるイメージがしやすくなりますよね。
腋窩神経の概要
腋窩神経ストレッチのターゲットは、当然ながら腋窩神経です。
腋窩神経の走行は
首〜肩甲骨の裏〜上腕骨を巻き付くように走る。
そして上腕部で停止します。
腋窩神経の支配を受ける筋肉は
・三角筋
・小円筋
の2つです。
腕を上げたり、外捻りする「運動機能」があります。
投球動作は腕を上げる、捻る動作があります。
この動作で痛みがあるなら腋窩神経に問題がある可能性があります。
また、上腕外側の「知覚機能」もあります。
つまり、野球肩で外側が痛いのは腋窩神経の影響です。
腋窩神経とクワドリラテラルスペース
野球肩で肩の後ろが痛いのも、腋窩神経の影響が考えられます。
肩の後方にはクワドリラテラルスペース(Quadrilateral Space)と呼ばれる場所があります。
訳すと「四辺形間隙」となり、簡単に言えば四辺に囲まれた隙間部分です。
四辺を構成するのが
・小円筋
・大円筋
・上腕三頭筋
・上腕骨
腋窩神経はこのクワドリラテラルスペースを通り抜けて走行しています。
クワドリラテラルスペースと腋窩神経の絞扼
野球でボールを投げる動作(投球、送球)を考えてみましょう。
・肩を横から上げる(外転位)
・腕の内外の捻り動作(内旋・外旋)
を繰り返します。
この投球動作はクアドリラテラルスペースが図の様に狭くなります。
繰り返される事で筋肉が硬くなり、より狭くなっていきます。
これにより腋窩神経が締め付け(絞扼)られて、野球肩の痛みが出てきます。
治らない野球肩改善に腋窩神経ストレッチ
ここまで、読んでいただいた方は野球肩と腋窩神経の関係が理解出来たと思います。
一般的な野球肩改善方法では、
・肩の筋肉のマッサージやストレッチ
・インナーマッスルのトレーニング
の筋肉にアプローチする方法がメインです。
ただ、脳からの指令を筋肉に伝える神経が正常に機能してない可能性がありますよね。
正常に機能せず、過緊張を起こさせているから痛いとも言えます。
神経ストレッチの目的は、神経を正常な機能に戻す事です。
筋肉のアプローチで治らない野球肩に悩んでいるなら、腋窩神経ストレッチを試してみましょう。
腋窩神経ストレッチ
腋窩神経ストレッチの注意点です
・テンションは3/10程度の弱い刺激で十分
・テンションをかける事が目的では無い
・目的はテンションを感じる事
・形だけを真似せずテンションがかかっているかを確認する
・肩の後ろから三角筋の縁辺りにピリピリ等の感覚が腋窩神経のテンション
・最後のポジションまでする必要は無い
・テンションを感じたポジションで緩めたりしてテンションの出し入れを行う
最初にどの動作で野球肩の痛み・動かしにくさが出るかを確認します。
腋窩神経ストレッチ終了後に改善されたかを確認します。
少しでも改善があれば効果有るので続けていきましょう。
1.肘を20°曲げる
2.腕を肩から内側に捻る(内旋)
前腕だけを捻らないように注意
3.肩を下げる
ここで肩の後ろから三角筋の縁周辺にピリピリ等の神経の張り(テンション)を感じるられるかも。
感じられるなら、
・肩を戻してテンションを抜く
・肩を下げてテンションを入れる
を繰り返して腋窩神経に刺激を入れてみましょう。
4.首を反対に倒す
これが腋窩神経ストレッチのポジションです。
腋窩神経にテンションを感じられなければ下記の方法を試してみましょう。
・意識してもう一度やり直す
・ポジションに持ってくる順番を変えてみる
(首を倒す→肩を下げる→肘を曲げる→内捻り等)
腋窩神経ストレッチのテンションの出し入れ
腋窩神経ストレッチでテンションをかけられたら次はテンションの出し入れを行います。
テンションを抜いたり、入れたりですね。
ポジションを作った逆の事をするとテンションが抜けるのを確認しましょう。
確認出来たら、再度テンションを入れていきます。
・首を戻す→首を倒す
・肩を上げる→肩を下げる
・腕を戻す→腕を捻る
どの方法が良いかは人により異なります。
痛み・動作改善が出るものを探してみてください。
そのためにも、必ず前後で痛み・動作確認は行って下さい。
腋窩神経ストレッチで野球肩が改善しなければ緩めてみる
腋窩神経ストレッチで野球肩が改善しなければ、神経を伸ばす刺激が合わなかった可能性があります。
それなら、逆に腋窩神経を緩めてみましょう。
腋窩神経ストレッチと逆のポジションで緩める事が出来ます。
1.首を野球肩の痛みがある方に倒す
2.肩を上げる
3.肩を外に捻る
4.首を肩側に向ける
これが腋窩神経が緩むポジションです。
このポジションのまま2〜3分程度キープしてみましょう。
ただし、緩めてる途中で痛み等の不調があれば止めましょう。
終わったら、痛みが出る動きが改善されているか確認してみましょう。
野球肩は肩以外のケアも重要
今回は筋肉のストレッチで治らない野球肩の改善方法を紹介しました。
それが腋窩神経ストレッチです。
ここまで、肩の話をしてきましたが、野球肩の痛みは肩以外にあることも多いです。
例えば、膝が悪ければ上半身をしっかり固定出来ません。
すると、投球時に上半身がブレて肩に過剰な負担がかかる可能性があります。
この様に、結果的に肩に負担がかかって野球肩となっている事が多いです。
だからこそ、痛い肩周辺だけでなく全身に気を配る必要があります。
当院では野球肩の施術でも全身を調整して肩にかかる負担を軽減させていきます。
治らない野球肩でお悩みの方はご相談下さい。
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