・小指・薬指が痛み・しびれがある
・手のひらに痛み・しびれがある
・手の細かい作業がやりにく
上記の症状があるならギヨン管症候群(尺骨神経管症候群)の可能性があります。
ギヨン管とは手首にある尺骨神経が通るトンネルです。
そのため、ギヨン管症候群(尺骨神経管症候群)による手のしびれは、尺骨神経ストレッチが効果的です。
手のしびれ・痛みに効果的な尺骨神経ストレッチを写真付きで紹介。
最後まで読まれると、ギヨン管症候群(尺骨神経管症候群)のメカニズムや発生原因、セルフケア方法まで分かりますよ。
同じ症状が出やすい、肘部管症候群のページも読まれるとより理解が深まります。
手のしびれ・痛みは下記も合わせてお読み下さい。
・手のひらのしびれ・痛み改善の正中神経ストレッチ
・手の甲のしびれ痛み改善の橈骨神経ストレッチ
ギヨン管症候群とは
ギヨン管症候群(尺骨神経管症候群)を正しく理解するために、ギヨン管(尺骨神経管)と症候群に分けてみましょう。
ギヨン(guyon)管とは手首の場所の名前で詳しい説明は後にします。
症候群(syndrome)は原因不明なのに症状がある時に病名に準じて使う医学用語です。
つまり、ギヨン管症候群とはギヨン管が何らかの理由で障害を受け、小指・薬指・手のひらの感覚障害、手の運動障害が起こる症状です。
ギヨン管とは

ギヨン管(尺骨神経菅)とは手のひらの小指側にある尺骨神経、尺骨動静脈が通過するトンネルです。
手首の付け根には、図の様に小さい骨がいくつもあります。
小指側にある豆状骨(とうじょうこつ)と有鈎骨(ゆうこうこつ)と、2つの骨をつなぐ豆鈎靱帯(とうこうじんたい)で構成されます。
ギヨン管(尺骨神経管)を通る尺骨神経が何らかの要因で圧迫されると、その先に小指にしびれ等の感覚障害が起こります。
ギヨン管症候群の症状

ギヨン管症候群(尺骨神経管症候群)の症状には、感覚障害と運動障害の2つがあります。
ギヨン管症候群の感覚障害では、痛み・しびれ等が小指・薬指・手の平に現れます。
ギヨン管(尺骨神経菅)では手首を反らすと圧迫が強くなるため痛み・しびれが強くなります。
ギヨン管症候群の運動障害では手を動かす機能が低下します。
そのため、下記の細かい作業が困難になります。
・握力の低下
・手の力が入れにくい
・指がスムーズに動かない
・ボタンを留める等がしにくい
・箸やペンが上手く使えない
・小指・薬指が伸びにくい
ギヨン管症候群による手の変形

ギヨン管症候群(尺骨神経管症候群)が悪化した尺骨神経麻痺では、筋萎縮により小指や親指の付け根の筋肉が痩せていきます。
そのため、平べったいやへこんで見える様になります。
筋萎縮の影響でかぎ爪変形(鷲手変形)も見られます。
かぎ爪変形(鷲手変形)は、薬指・小指が下記の形になります。
・付け根(MP関節)が反る(過伸展)
・第1・2関節(DIP・PIP関節)が曲がる(屈曲)

ギヨン管が障害される原因
ギヨン管(尺骨神経管)が障害を受ける原因の多くは手首の使い過ぎ。
手首の使い過ぎ以外は下記があります。
・外傷や圧迫
・腫瘍(ガングリオン、神経鞘腫、脂肪腫など)
・解剖学的変異
・関節の変形
・豆鈎靱帯(とうこうじんたい)の肥厚
尺骨神経とは
尺骨神経ストレッチのターゲットにする尺骨神経を説明します。
神経には筋肉を動かす運動神経と、感覚を感じる感覚神経の2つがあります。
尺骨神経は運動神経と感覚神経の両方の役割を持ちます。
運動神経は、肘から出る尺側手根屈筋と手の多くの筋肉。
感覚神経は、前腕の小指側・小指・薬指の半分が感覚領域です。
尺骨神経は首から出る

尺骨神経は背骨の首と胸の骨から出る神経が合流して出来ます。
首の骨は7個あり、その間から図のように神経が出ています。
C=首の背骨から出る神経
T=胸の背骨から出る神経
C1は第1頚神経とも言います。
C5〜T1は腕神経叢(わんしんけいそう)と言い、腕の神経を構成します。
尺骨神経は腕神経叢の第8頸神経と第1胸神経が合流した出来る神経の一つです。
尺骨神経の感覚領域

尺骨神経は、腕神経叢から上腕・肘の内側を通り小指・薬指の先まで伸びます。
尺骨神経の感覚領域は前腕の小指側・小指・薬指の半分です。
ギヨン管症候群(尺骨神経管症候群)では、手首のギヨン管(尺骨神経管)より先の手のひら、小指・薬指に感覚障害が起こります。
尺骨神経が支配する筋肉

尺骨神経が支配する筋肉は大きく2つに分かれます。
・肘から始まる尺側手根屈筋
・手の筋肉
尺側手根屈筋は手首を掌側に曲げる(掌屈)と、小指側に曲げる(尺屈)の役割があります。
手は小指に限らず筋肉のほとんどを尺骨神経が支配しています。
・短母指屈筋(正中神経と尺骨神経の二重神経支配)
・母指内転筋
・小指外転筋
・短小指屈筋
・小指対立筋
・短掌筋
・深指屈筋(正中神経と尺骨神経の二重神経支配)
・虫様筋(正中神経と尺骨神経の二重神経支配)
・背側骨間筋
多過ぎて図は一部の筋肉のみ。
親指にも尺骨神経が支配する筋肉があります。

手のしびれ・痛みは脳の不安が作る

ギヨン管症候群で起こる手のしびれ・痛み等の症状は脳の不安・危険判断が作ります。
脳には神経を通して身体から多くの手に関する情報が届きます。
届いた情報が不正確情報・悪情報から、脳は手をこのまま使い続けると悪化すると危険性があると判断します。
・不正確情報:感覚が鈍い等で正確に感じられない等
・悪情報:損傷している等
脳はこれ以上悪化させないために強制的に休ませる命令を出します。
それが手にしびれ・痛みを出して危険を知らせる・筋肉に制限をかけて休ませる事です。
この様に手のしびれ・痛みは脳が手を守るための反応です。
手のしびれにより感覚がさらに鈍くなり、不正確情報が脳に届き…。
悪循環となり手のしびれ・痛み等の症状が悪化します。
脳・神経から症状を改善する考え方

ギヨン管症候群(尺骨神経管症候群)による手のしびれ・痛み改善には正確情報を脳に届ける事です。
手のしびれ・痛みがある状態では不正確な情報が脳に送られ続けます。
意識的に正確な情報を脳に届ける事で、脳は安心していきます。
脳が安心して正確な判断をすることで、注意喚起の手のしびれ・痛み等の症状を出す必要が無くなります。
脳に正確情報を送る方法の一つが神経ストレッチ。
脳から身体を動かす運動神経の指令が出る。
感覚神経のピリピリした正確な感覚情報を脳に届ける。
この様な正確情報の好循環を繰り返す事が、脳・神経からの症状改善です。
手のしびれ・痛み改善の尺骨神経ストレッチ

尺骨神経ストレッチは、手のしびれ・痛みに関係する尺骨神経を動かしていきます。
最初に尺骨神経のテンションをピンと張った(伸びた)状態を作ります。
伸びた状態を言い換えると、尺骨神経にストレッチをかけた緊張状態。
ここから、テンション緩める動作とテンションをかける動作の繰り返します。
このテンションの抜き差しで尺骨神経を動かして刺激を与えていきます。
尺骨神経ストレッチのポジション作り
まずは、尺骨神経にテンションをかけていきます。
ピリピリ等の感覚を小指側で感じましょう。
テンションの強さはMAX 10としたら3程度の弱くて十分です。
強くかけ過ぎない様に注意して下さい。
順番にテンションをかけていきますが、3/10になったら最後までする必要はありません。
強いテンションで行うと、手のしびれ・痛みが増す可能性もあります。
適切なポジションで止める様にして下さい。
テンションを感じれらない場合
・最初から順番通りにやり直す
・テンションを感じやすい順番に変えて行う
・肩・手首・肘の高さ・首等のポジションを微調整
尺骨神経ストレッチのテンション抜き差し
尺骨神経ストレッチのポジションが出来たら、手首・肘・肩・首でテンションの抜き差しです。
3〜5回行います。
全部をする必要はありません。
試して症状改善が少しでも改善する方法を継続しましょう。
尺骨神経ストレッチの注意点
・緩めた後にテンションを入れるときに、しっかり入っているのを確認する。
形だけマネしているとテンションが抜けている事が多いです。
・強いテンションをかけ過ぎない。
手のしびれ痛み改善 尺骨神経緩める方法
尺骨神経にテンションがかかり過ぎて、手のしびれ・痛み改善が出ている可能性もあります。
その場合、尺骨神経ストレッチでは手のしびれ・痛みが強くなる可能性があります。
尺骨神経ストレッチで手のしびれ・痛みが改善しないなら逆に緩めてみましょう。
ギヨン管症候群改善の尺骨神経ストレッチまとめ
ギヨン間症候群改善の尺骨神経の関係は理解出来ましたか?
尺骨神経ストレッチでは、尺骨神経の動きを感覚で確認します。
手のしびれ・痛み改善は尺骨神経の感覚異常です。
尺骨神経ストレッチは動かして感覚を正確に感じる事も目的です。
ただ、手のしびれ・痛みは様々な要因で起こります。
尺骨神経ストレッチでギヨン管症候群が改善しない場合は他のアプローチが必要になります。
改善しないなら、別の方法を探してみましょう。
当院では、神経学をベースに手のしびれ痛みを様々なアプローチで改善を目指します。
お悩みの方はご相談下さいね。
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