手のひらのしびれ・痛みを改善する神経ストレッチ（正中神経）

正中神経の障害では、感覚障害と運動障害の2つがあります。

感覚障害では橈骨神経の感覚領域のしびれ・痛み等の感覚異常が出ます。

運動障害では手首・指を曲げにくい等の支障が出ます。
物をつまむ等の親指と他の指との対立動作が難しくなります。

正中神経麻痺では親指の付け根（母指球筋）が萎縮して平らになり猿手と呼ばれます。
親指を曲げられずOKサイン(パーフェクト0)が難しくなります。
写真のような形となり、親指と人差し指が涙の形に見えるためティアドロップサイン(tear drop sign)と言います

手のしびれ・痛み等の症状が出る理由は様々です。
主には手や腕の使い過ぎで、手首や肘で正中神経が圧迫を受けて起こります。

使い過ぎ以外の主な理由は下記です
・骨折等の過去のケガ
・腫瘍や神経の炎症等の病気
・糖尿病

手のしびれ・痛みは正中神経麻痺だけではありません。
手のどの部分にしびれ・痛みがあるかで判断出来ます。
まずは、手のしびれ・痛みがどこに出ているかを確認しましょう。

正中神経麻痺は手のひら側の親指・人差し指・中指です。

親指・人差し指・中指でも手の甲側は、橈骨神経という別の神経です。

小指・薬指にしびれ・痛みがあれば尺骨神経になります。

正中神経は首から出る神経が繋がり腕に向かう腕神経叢（わんしんけいそう）の一つです。
役割は手首・手の動き・感覚を担当します

正中神経は腕神経叢を出て上腕骨に沿って指先まで走行します。
肘から先では橈骨と尺骨の間を通り屈筋支帯（横手根靱帯）をくぐって、小指以外の四指に分布します。

正中神経は腕神経叢から指まで伸び、前腕〜手まで多くの筋肉を支配しています。
正中神経が支配する筋肉の主な役割は手・指を曲げることです。

正中神経が支配する筋肉は下記です。

・母指対立筋
・短母指外転筋
・短母指屈筋
・長母指屈筋
・浅指屈筋
・深指屈筋
・円回内筋
・橈側手根屈筋
・長掌筋
・方形回内筋

正中神経が圧迫を受ける事を絞扼（こうやく）と言います。
正中神経が絞扼されやすい箇所は肘を手首の2箇所。

肘では円回内筋部で絞扼される円回内筋症候群。
手首では、手根管で絞扼される手根管症候群。

円回内筋は、肘の内側の上腕骨と尺骨から外側の頭骨に向かって走行する筋肉です。
円回内筋は、肘を曲げる・腕を内側に捻る時に働きます。

正中神経が肘周辺の円回内筋で圧迫されるのが円回内筋症候群です。
肘での圧迫障害のため手のしびれ・痛みだけでなく、前腕部にも症状が出たりします。

正中神経の障害で有名なのは手根管症候群です。

手根管とは手首の骨と屈筋支帯に囲まれた正中神経が通る道です。
屈筋支帯は正中神経や手の筋肉を保護する役割があります。

この手根管で正中神経が圧迫を受け、手のしびれ・痛みの症状が出るのが手根管症候群です。

手のしびれ・痛み改善の正中神経ストレッチを紹介します。

一般的なストレッチの目的は筋肉を伸ばす事です。
正中神経ストレッチは、神経を伸びた感覚を正しく感じる事が目的です。

正中神経が正しく伸びるボジション姿勢となる様に運動神経が筋肉に指令を出します。
正中神経が伸びた感覚を感覚神経で正確に感じて脳に情報を届けます。
この循環を繰り返すために、正中神経にテンションをかける・抜くを繰り返します。

手に正中神経が伸びたテンションを感じましょう。

正中神経ストレッチは、正中神経の感覚を修正して手のしびれ・痛みを改善していきいます。

神経ストレッチの詳しい説明は下記をクリックしてお読み下さい。

正中神経ストレッチのポジション作りの注意点

・強いテンションをかけない
・MAX10とすると３程度のテンション
・3/10のテンションを感じられたら、最後のポジションまでしなくて良い

正中神経にテンションを感じられない場合は下記で調整。
・最初からやり直し
・ポジションに持っていく順番を変える
・腕・手・首・肩の位置を微調整してテンションがかかる位置を探す

正中神経ストレッチでテンションをかけてから、動かしていきます。

３〜５回程度動かします。
形だけ動かさない様にテンションを確認しながら行います。
緩めて、再度テンションをかけた時が抜けやすいです。
抜く前と同じテンションがあるかを確認しましょう。
テンションが抜けているなら、微調整してテンションがかかるポジションを探しましょう。

手のしびれ・痛み等の症状が正中神経ストレッチで改善しない場合もあります。
その時は、反対に正中神経を緩めていきましょう。

緩め方は正中神経ストレッチの逆のポジションです。

緩めるポジションで５分ほどキープしてを緩めましょう。
途中で手のしびれ・痛み等の症状が強くなれば中止してください。

正中神経ストレッチと比較して効果の高い方法を継続していきましょう。

手のしびれ・痛み等の症状のうち正中神経障害について説明しました。

手は細かい動きが出来るため、手のしびれ・痛み等に関する神経は他にもあります。
今回の正中神経ストレッチが効果無ければ、他の神経ストレッチを試して下さい。

手のしびれ・痛みは様々な要因の積み重ねで起こります。
そのため、全ての人に効果的なものはありません。
色々と試して合う方法を探していきましょう。

当院では、手のしびれ・痛み等の症状について、神経学を応用して改善していきます。
手のしびれ・痛みでお悩みの方はお任せ下さい。