神経学トレーニング

目次

脳を安心させて症状改善

神経学トレーニングの目的は、
「入力」される感覚情報を正確にして痛み等の症状改善を目指す。
これだけでは難しいですね。

これから、図を使ってわかりやすく解説していきます。
ぜひ最後まで読んで考えだけでも理解して下さい。

理解できれば一般的なセルフケアにも応用可能です。
応用できれば効果も高まります。

神経学トレーニング 危険判断

なぜ痛み等の症状が出ると考えていますか?
筋肉が硬くなっているから?
身体が歪んでいるから?

神経学では、脳が危険判断をした結果身体を守るために症状を出す。
と考えています。

①不正確な身体の感覚情報(皮膚・筋肉・視覚・バランス感覚…等)が脳に送られます。
②脳は届いた情報をまとめて危険と判断します。
③危険判断すると、身体を守るために筋肉を硬くして防御したり、痛み等を出して休ませる様にします。

一般的な施術は、③の筋肉等を狙った施術です。
神経学トレーニングは、
①の不正確情報を正確情報に修正して脳を安心させる

という考え方です。

神経学トレーニング 安全判断 正確情報

脳に「入力」される感覚情報

感覚情報 体性感覚 運動覚 位置覚 痛覚 触覚 圧覚

感覚は何かというと、上図です。

聞き慣れない言葉を解説していきます。

体性感覚とは、僕らがイメージする身体の感覚です。
表在感覚…皮膚からの感覚です。

深部感覚…筋肉や関節等の皮膚より内部からの感覚です。
運動覚と位置覚がややこしいですかね。

運動覚…身体の運動方向の感覚
位置覚…身体の位置の感覚
イメージとして、
運動覚はどの方向に向かって動いているかを感じる。
位置覚は止まっている身体の状態を感じる。

特殊感覚の平衡感覚バランス感覚です。
三半規管や耳石器を合わせたもので前庭感覚とも言います。

神経学トレーニングでは、体性感覚と特殊感覚のうち平衡感覚視覚をターゲットにしています。

感覚情報が不正確か正確か?

感覚情報は痛み等の症状が無くても不正確な事も多いです。

例えば、目を閉じて指で鼻先をさわる。
鼻はさわれても先から少しズレていませんか?

イラストほどズレる事はないでしょうけど。
もし簡単なら、スピードを上げる
手を伸ばして指と鼻を離したところから始めて下さい。

これは、鼻先の位置覚指の運動覚の情報の片方か両方が不正確。

では、難易度を下げて、正確な情報を脳に入力します。。
目を開いて正確に鼻先を3〜5回触りましょう。

再度、目を閉じて鼻先を触りましょう。
今度は正確に出来たでしょう。
もし出来なければ、繰り返して下さいね。

これが、不正確情報正確情報にする神経学トレーニングの簡単な例です。

脳の「解釈」と「出力」

神経学 脳

脳は「入力」された情報を「解釈」してそれに備えた「出力」をします。

「入力」は脳に感覚情報が送られる事。
「解釈」は脳に届いた多くの感覚情報をまとめて危険か安全かを判断する事。
「出力」は危険であれば危険に備えた身体になるように筋肉等に指令を出す事。

脳は3つの基本原則があります。

  1. 脳の一番の仕事は身体を守ること
  2. 脳は危険予測をして身体を守ること
  3. 脳は感覚情報が不正確な時も身体を守ること

身体を守る「出力」の例として

  • 痛み
  • 可動域減少
  • 筋力低下
  • うつ感情

があります。
この反応を例に説明してきます。

1.脳の一番の仕事は身体を守ること

脳は身体を守ることが最優先事項です。

上記の例は身体を守る為とは思えませんよね。
「身体を守る」を

「ダメージのある身体を無理させず休ませる反応」
と言い換えてみるとどうでしょうか?

  • 痛みがあると安静にしようとする
  • 可動域が狭いと運動量が減る
  • 強い力を出せないので疲れにくい
  • うつ感情で何もしたくなくなる

例えば、
痛みで歩くのが辛い場合でも
歩けない辛さよりも、歩いてダメージを負わない事が最優先。

この様に生活に不便を感じても、身体を守る事を最優先にします。

2.脳は危険予測をして身体を守る

脳

脳は常に予測をしています。
例えば、梅干しを想像すると唾液が出る。
これは脳が梅干しを食べたと予測した反応です。

身体を守る「出力」例でも
ダメージを負わない様に先に反応を出していると考えられます。

脳は予測で先回りして身体を守る仕組みを持っています。

3.脳は感覚情報が不正確な時も身体を守る

予測する為には、正確な感覚情報が必要です。

脳は感覚情報が不正確の時も危険と「解釈」し身体を守る反応「出力」をします。

例えば、真っ暗なところは視覚情報が不足しています。
脳は危険と判断して、筋肉を緊張させたり心拍数が上げる反応をとります。
明るくなると、正確情報が送られて脳が安心するため緊張や心拍数が落ち着きます。

神経学トレーニングは、不足している情報を脳に入力するトレーニングです。

この例では、
①「明るさ」を視覚神経を通して脳に「入力」しています。
②感覚情報が正確になると脳は安心と「解釈」します。
③安心すると緊張や心拍数を落ち着ける様に「出力」します。

情報入力だけで症状改善するアロマ

理屈はわかったけど、それで症状改善するの?
と、疑問に思われる方が多いのではないでしょうか。

しかし、この方法は知っている方は取り入れています。

神経学を学んだことで、なぜ改善するのが理解出来ました。

その例としてアロマオイルを紹介します。

アロマオイル

女性に人気なのが身体の不調をアロマオイルを使って改善する方法。

アロマオイルの香りが嗅覚情報として、脳へ「入力」されます。
脳は安全と「解釈」して自律神経や筋肉の緊張を緩める指令を「出力」します。

アロマオイルに関しては素人なので詳細は書けません。
効果が気になる方は「アロマオイル 効果」等で検索してみて下さい。

他にも好きな音楽を聴いてリラックスして筋肉の緊張を緩める等もあります。
音楽は誰にでも経験があるでしょう。

効果を高めるコツは意識を向ける事

好きな音楽を聞き流すだけ。
アロマオイルをただ匂うだけ。

これだけでもリラックス効果は出るでしょう。
更に、神経学トレーニンを応用して効果を高めるコツをお伝えします。

アロマの香りに意識を集中します。
アロマの良い香りの感覚情報をより正確入力

②リラックスした身体の変化に意識を向けます
筋肉の緊張が緩んだ等の感覚情報を正確に入力

この様に意識をすると脳の安心感が増して効果高くなります。

注意点は、意識しようと考え過ぎて力み過ぎないように。
リラックスしながら意識を向けて下さいね。

神経学トレーニングの指導動画

今まで難しい事を書いてきました。
難しくて出来ないと不安になっていませんか?

安心して下さい。
実際の神経学トレーニングはすごい単純な動き
一見すると、普通の体操みたいに見えます。

ただし、重要なのは身体に意識を向けて行うこと。
この意識が神経学トレーニングでは重要です。

実際の神経学トレーニングを指導している動画です。
指導するのは、2:42 腰痛改善体操 からです。

神経学トレーニングは脳を安心させる事が目的です。
痛く無い範囲をゆっくり確認しながら動かします。

繰り返す事で、
動きは痛く無いと情報が入力
脳は安心と解釈
筋肉を緩める出力

この3ステップが基本となります。

バランストレーニング

次は少し変わったトレーニング。
三半規管という耳の奥にあるバランス感覚のトレーニングです。

一般的なバランストレーニングはバランスボールに乗る等です。
神経学トレーニングでは、もっと手前です。

バランスボールに乗れる人でも、このトレーニングをしてみると左右差がある事がほとんど。

3:40 から指導が始まります。

これもやる事はすごい簡単ですよね。

まずは、弱い方向を探します。
探せたら、その方向に一つ前の安定する姿勢で繰り返します。

これも脳を安心させるための情報「入力」です。

もう少し詳しく解説した動画が下記です。

①痛み等が出る動きで身体の状態を確認
②不安定姿勢で、どの方向が苦手かを検査
③安定姿勢で、苦手な方向を3〜5回繰り返す
④不安定姿勢で、バランスが崩れないかを確認
⑤①の動作で痛みや可動域が改善しているかを確認

必ず①⑤を行って下さい。
⑤の改善の有無で、あなたに合うトレーニングかを判断します。
改善が無ければ違うトレーニングをして、合うものを探します。

神経学トレーニングで狙う感覚情報

神経学トレーニングで鍛える対象は色が付いている感覚です。

このなかでも、運動覚、位置覚、視覚、平衡感覚がメインとなります。

運動覚とは、最初の腰を回す体操
平衡感覚とは、2番目の三半規管トレーニング

2例の紹介でも、一般的なセルフケアとの違いがわかってもらえたでしょうか。

意識すると好循環が促進

神経学トレーニングは意識することが重要です。

その理由は
「入力」→「解釈」→「出力」
で終了ではありません。

「入力」→「解釈」→「出力」→「入力」→…
と循環しているからです。

好循環

腰痛を例にして説明します。

①神経学トレーニングで、正確な情報を入力。
②脳が安全と解釈
③筋肉を緩める・痛み改善等の出力

意識をすると
筋肉が緩む・痛み改善したと入力
⑤脳がさらに安全と解釈
⑥さらに筋肉を緩める・痛み改善等の出力

この様に意識をすると好循環が加速します。

これが、一般的なセルフケアにも応用出来る考え方です。

しっかり理解する事で、脳が更に安心して好循環が加速します。

一般的なセルフケアとの違い

神経学トレーニングは一見すると普通の体操です。

しかし、意識することで普通の体操以上の効果が得られます。
授業を集中して聞くのと、ボーッと聞くのと違いですね。

意識するこ事でターゲットが違ってきます。。

一般的なセルフケアは出力に対して

一般的なセルフケアは、症状に対してパターン化されています。
例えば、腰が痛いなら筋肉が硬い腰周りのストレッチ。

ここまで、読んでいただいた方はもうわかりましたか?

「痛い・筋肉が硬い」は危険と「解釈」した後の「出力」された結果です。
つまり、一般的なセルフケアは結果にアプローチしています。

神経学トレーニングは入力情報にアプローチ

神経学トレーニングは感覚情報に意識して「入力」がターゲット
言い換えると、筋肉を硬くする「出力」より前の原因にアプローチです。

「出力」で硬くなった結果の筋肉を伸ばすよりも、「入力」を修正して行くほうが重要だと思いませんか?

ただ、一般的なセルフケアと違ってパターン化されていません。
理由は、人により不正確な感覚情報が違うため。
多数の神経学トレーニングの中から症状に対応したもの探す必要があります。
探した結果、症状とは全然関係無いところをトレーニングする事もあります

この様に深く掘り下げる事が出来るのが面白さでもありますが奥深くて難しいです。

整体で改善する理由も感覚情報

体性感覚→表在感覚→触覚・圧覚

表在感覚とは皮膚で受ける感覚です。
触覚は触られた感覚。
圧覚は押された感覚。

つまり、マッサージ・鍼・整体を受けた時に脳に入力される情報です。

軽く触れる程度の圧で、なぜ改善するのか?
と質問される事が多いですがもう理解出来ますよね。

弱い刺激でも正確情報なら、脳が安心と解釈して筋肉を緩める情報を出力します。

まだ説明不足な神経学トレーニング

長くなりましたが、神経学トレーニングのイメージを掴んでもらいましたか?

理解してもらいやすいように省略した部分も多いです。
そのため、内容に疑問が残る箇所もあるかもしれません。

疑問等があれば、来院時に聞いて下さい。
ただし、話し出すと止まらない可能性があります。

その時は、止めて下さいね。

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