「整体院で横隔膜が硬いですね。
と言われたけど、それってどういう意味ですか?」
たまにこんな質問をされます。
何となく悪そうな気がするけど、ハッキリとはわからないですよね。
今回は
・「横隔膜が硬い」とどんな不具合があるのか?
・横隔膜と自律神経の関係
・横隔膜と首の関係
を解説していきます。
首痛・自律神経の乱れが横隔膜の硬さの改善がで重要な理由が理解出来ますよ。
横隔膜の位置
まずは横隔膜の形の見ていきましょう。
横隔「膜」という漢字だと薄い膜なのかと勘違いしそうですが立派な筋肉。
牛の横隔膜はサガリ・ハラミ部分です。
立派で食べ応えありますよね。
肋骨の下にベタっと張り付いていて身体の中で胸と腹の境目となります。
形は肋骨の底面に合わせてドーム状になっています。
横隔膜は息を吸う時に働く
横隔膜は呼吸筋の1つです。
呼吸筋は吸う時に働く吸気(息)筋、息を吐く時に働く呼気(息)筋に分かれます
吸気筋は肋骨を広げる役割があり、呼気筋は肋骨を縮ませる役割があります。
横隔膜は最大の吸気筋です。
呼吸は基本は無意識で行なっています。
そして、深呼吸などは意識して行う事も出来ます。
つまり、横隔膜は意識してコントロールできる筋肉でもあります。
呼吸時の横隔膜の動き
息を吸う時、横隔膜は収縮して下がります。
真ん中のビーカーの下のゴムが引き下げられるのと同じです。
これにより胸腔内が陰圧になり胸郭が広がって肺を拡張させて空気を取り込みます。
ビーカー内の2つの袋も膨らんでますよね。
息を吐く時、横隔膜は緩んで元に戻ります。
この様に横隔膜の動きは息を吸う時にとても重要です。
横隔膜を貫く孔と自律神経
横隔膜には食道裂孔、大動脈裂孔、大静脈孔と呼ばれる穴があります。
この穴があることで、血管や食道が胸と腹を行き来する事が出来ます。
各裂孔には名前の通り、食道、大動脈、大静脈が通ります。
横隔膜の動きが悪くなると、裂孔にも影響がある可能性があります。
横隔膜と逆流性食道炎
自律神経失調症の1つとも言える逆流性食道炎。
横隔膜は食道と胃の間の筋肉です。
横隔膜の食道裂孔を食道が通っています。
横隔膜が硬くなると、食道裂孔部の筋肉である下部食道括約筋もうまく働きません。
これにより胃酸の逆流が起こるのが逆流性食道炎。
横隔膜の硬さがあると、逆流性食道炎のリスクが高くなります。
横隔膜と迷走神経
食道裂孔には迷走神経も通っています。
迷走神経は自律神経のうち、リラックス時に働く副交感神経の1つ。
迷走神経の役目は頚から腹部の内臓や心臓や血管などを支配します。
食べ物を飲み込む嚥下や発声、腸などの消化管に関係する働きをします
自律神経失調症の1つに迷走神経反射があります。
迷走神経の乱れにより心拍数減少、血圧低下、脳貧血状態となります。
これにより
・めまい
・冷や汗
・気分が悪い
・血の気が引く
等の症状が出ます。
横隔膜が硬くなると迷走神経にも影響を与える可能性があります。
横隔膜が硬いと呼吸が浅くなる
筋肉の働きをわかりやすく、力こぶ(上腕二頭筋)で表現します。
緩んで長く伸びる。
縮んで太くなる。
緩む・縮むともに最大限までいく事が柔軟性です。
力こぶの筋肉が硬いと、途中までしか伸びなかったり、最後まで曲げれない。
などの動きの制限が出て可動域が狭くなります。
横隔膜が硬いと、吸う時に最大限吸えない、吐く時に最大限吐けない状態になります。
つまり呼吸が浅くなってしまいます。
呼吸が浅いと回復力が低下
呼吸はエネルギーを作るのに必要な酸素を取り込み、ゴミとなった二酸化炭素を吐き出します。
呼吸は1日3万回行われているとも言います。
1回の浅い呼吸なら大きな影響は無いですが、1日3万回が積み重なると相当な量ですよね。
エネルギーを効率的に作る事が出来ず、回復力が低下して疲労感が出る可能性があります。
回復力を上げるために呼吸を深くする。
そのために、硬くなった横隔膜の柔軟性を取り戻す必要があります
横隔膜の硬さと首の関係
横隔膜を動かす横隔神経は首から出ています。
詳しく言うと、頚椎3番〜5番から横隔神経が出ます。
簡単に言うと首と横隔膜は関連があります。
僕が学んでいる神経学の視点から考えてみます。
首の横隔神経から横隔膜を動かすように信号が出ます。
もちろん、横隔膜が動く事で横隔神経も刺激されます。
横隔神経⇄横隔膜
横隔神経が刺激されると、出ている首部分も刺激されます。
実際に横隔膜の硬さが無くなると、首の動きも改善される例が多数あります。
横隔膜の硬さを改善が脳の働きも改善
横隔膜の感覚を処理している場所は脳の島皮質(とうひしつ)。
島皮質は「心と体」の関係に重要な役割がある事が最近の研究でわかってきました。
島皮質は脳内に幅広いネットワークを持ち機能も豊富です。
身体の状態の意識化から、運動、意思決定、知覚、情動等があります。
横隔膜を硬さを解消のために横隔膜を動かすと、島皮質にも良い刺激が入り働きが改善されます。
島皮質の働きが改善されると自律神経の調整能力が上がり普段からリラックス出来るようになります。
ゆっくり吐くことで副交感神経優位になる
自律神経は活動的な自律神経とリラックスの副交感神経の2つ。
身体の回復には、副交感神経優位のリラックス状態にすることが重要です。
リラックスしたい時の一番簡単な呼吸法はゆっくり吐く事を意識するのが大事です。
図の筋肉項目を見て下さい。
緊張が交感神経優位、弛緩が副交感神経優位です。
横隔膜は緊張した時に下に下がり胸郭を広げて息を吸います。
そして横隔膜が弛緩することで上に戻り息を吐きます。
吐く時が副交感神経優位になりリラックス出来るのです。
どこでも出来るのでこれから始めていきましょう。
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